なぜ個展をするのか。私が作品公開をする上で考えていること

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最近前の写真を眺める機会があって、ぼんやり個展の時にいただいた感想など読み直していました。個展に限らず、今までいただいた感想は紙やオンライン媒体問わずに保存していますし、大切な原動力になっています。

2011年から個展をはじめてからと言うもの、1年がF1レースのように過ぎていきます。約1年を個展につぎ込むので、毎年やると言うことは私のサイクルがほぼ個展を中心に動いていると言っても過言ではありません。それだけの原動力を持てる作品に出会えていること自体感謝すべきなのですが。

私がなぜ個展をするのか。について個展をやるまでの準備と、心構えも含め少しお話したいと思います。

私が個展をやると必要になる作業

見出しに「私が」とつけさせていただきました。これは私にしか当てはまらない作業になると考えたためです。個展をやる上での基本的な作業は同じだと思いますが、私が全てを総括しているため発生する作業です。

例にとってざっくり個展までの流れを見てみます。

  • ある年の個展スケジュール
10月 昨年度全ての個展終了
11月 通販手配他発送業務など終了。
翌年の個展のテーマや構成を考え、決まればモデルを集めるため声をかける(この時点で人の予定を確保するため動くのでもう後戻りはできない)
12月 ギャラリーの下見月間。決まれば告知サイトの作成、告知素材の準備。
1月 衣装製作2着 ロケ地調査、許可取り、ブッキング
2月 衣装製作2着 ロケ地調査、許可取り、ブッキング
3月 衣装製作2着 ロケ地調査、許可取り、ブッキング
4月 衣装製作2着 ロケ地調査、許可取り、ブッキング、新規衣装の試着撮影
5月 新規衣装の試着撮影、個展撮影開始
6月 個展撮影
7月 個展撮影
8月 編集作業、入稿、展示準備作業
9月 入稿、展示準備作業、衣装メンテナンス、個展(日本)
10月 個展(海外)
11月 通販手配、発送作業、打ち上げ、翌年の個展テーマが(略)
12月 〜血眼で再び作業に戻る∞〜

仕事が終わったあとにこれらの作業をしています。さすがに個展の前後は仕事休みますけど…笑

撮影の時期はやること少なくていいね!てパッと見思いますが、以下の作業が毎回発生します。

  • 構図作成(所要時間1回の撮影につき1週間強ほど)
  • 必要な小道具などの準備
  • 持っていく衣装のアイロンがけやメンテナンス
  • 香盤作成
  • 関係者への連絡
  • 車の確保(毎回レンタカー借りています)

私が個展をする上で考えていること

責任の所在を分散させない

私は文字通り1から10まで自分で決めて撮影していますが、個展自体ももちろんそうです。もっと言うと個展の構成自体のみならず、私は個展当日におけるスタッフマニュアルを作成し「空間に合ったスタッフ」であることをお願いしています。(人形みたいにいろ、と言うような指示ではありませんが。笑)

私の作品全てが関わった人全ての評価にも繋がるので、自分の決めたこと、作り上げたものに責任をもって出せるものを作りたいと思っています。仰々しい言い方になりますが、ある意味関係者を守ることでもあると思っています。

モデルには彼らのファンがいますし、そのような人たちが来ても納得してもらえるように作ること。私は自分が選んだモデルに代わりはいないと思っています。

何がなんでもやり遂げる

軍隊ですか?いいえmitです。

これはただの私の持論ですが、「他人を巻き込んで決めたことを覆さないこと。」天災やどうにもし得ない事柄は除いて、自分1人が担うものではなくなった時(私の場合は個展をやる!と決めてモデルに声をかけた時点で)告知をしていなくとも、絶対に何が何でもやり遂げると心に決めます。

友人の間柄であって、「ごめんやっぱり声かけたけど個展するのやめる」と言うのなら許してくれるかもしれません。でも1度言い出したことをすぐにやめる人と言う印象はその1度でも貼られてしまうもの。

私は自分がモデルをキャスティングし、自分が自由に作品表現することを可能にするために今まで動いてきました。友人関係であることを除いても「mitであれば安心して企画に乗っかれる」と思ってもらえるようにするためには、決めたことを速やかに、可能な限り無駄なく、簡潔に、相手に伝えること。そして撮影で満足してもらえる結果を残すこと。負担はもちろん自分にかかりますが、私が主導権を握るので負担がかかるのは当然のことだと考えています。

来てくれるお客さんに対しても、1度告知したら絶対やってくれる個展だと思ってもらえれば楽しみにしてくれている人にぬか喜びさせることもありません。

1人でも楽しみにしている人がいるなら諦めない

2011年の個展を初めてした年、奇しくも3.11の大震災がありました。その時はまだコスプレの写真展など皆無で、個展をしている人は知る限りおらず、中々スリリングな経験もしました。

その年の個展は5月だったので、まだ日本が傷つき復興真っ只中でした。幸いにもギャラリーも無事で開催でき、たくさんの方が来てくれました。その中でも被災地から来てくれた方が「この個展に来ることを本当に楽しみにしていた」と涙ながらに伝えてくださったとき、諦めずに形にできて良かったと心から思ったことを覚えています。

それから毎年のように個展をすると本当に各地から様々な方が来てくださり、九州や関西から日帰りで個展のためだけに飛んできてくださったり、海外から個展に通うためだけに来てくださったり。そうして時間を捻出して足を向けて来てくださる人がいることに大きな感謝を覚えずにはいられませんでした。

ですので、たとえたった1人でも「楽しみにしています」と言ってくれる人がいるのなら、その人を決して裏切ってはいけないと思うようになりました。展示は見せるものであって、たとえ個展だとしても最早1人で自由に取りやめたりできるものではない、と思っています。(現実的な話、ギャラリーを予約した時点で既に半金を納めるのでやめることはできないのですが)

離れがたい場所であること

写真集はどこでも、何度でも読み返すことができますが、展示は普通1度足を運んだきり。

美術館などは入場料の関係で何度も足を運べないと言うのもありますが、私は何度でも足を運びたくなる展示をしたかったのです。あんなにじっくり見たのに1度ギャラリーを出るとまた戻りたくなるような。離れがたくて何時間もいてしまうような。何度でも作品を見て、考えてを繰り返す仕組みを作りたかったのです。

作品をただ鑑賞する場所だけにしたくない。その空間に大掛かりな道具や美術がなくとも、作品に集中できる空間を保ちながら写真の構成に少し仕掛けを加えて、何度もギャラリーを巡ってしまうような場所を作りたいと思いました。展示だとそれが叶います。

毎年、作った展示会場をクローズするのが寂しく思います。特別なたった数日ですが、静かで音楽だけが響く、周囲を気にせず写真にだけ集中できる。私にとっても居心地のいい空間です。

さいごに

個展をやるのは大きな愛情とパワーが必要で、我々のように人を撮る人間はモデルも必要です。

けれど1人で大半の多くの作業をこなしていても、周りにいてくれる人が一緒に楽しんでくれるからやっていけています。その上で作品を楽しみにしてくれる人の存在がとても励みになっています。

やりたいことしかしないのは、愛のないもので私の作品を好いてくれる人を満足させる自信はないからです。私にとって個展はただの作品公開の場ではなく、出したら相手を納得させるだけのものを作らなければならないと自分に言い聞かせています。私の作品には多くの人が関わっているので、人あっての個展だと思っています。

mitの展示に関わって良かった、mitの展示に来てよかった。そう思ってもらった上でテーマにした原作をもっと好きになってくれたらいいなと思っています。冒頭に戻りますが個展でいただいた感想を読んでいて、いつも本当にエネルギーをいただいています。私の写真を好きだと言ってくださる皆さんが私は大好きですし、皆さんが足を運んでくれた時満足して欲しいな、楽しんで欲しいなと思えるので頑張れます。

今年2018年は個展をしません。が、今の旅で多くを吸収してまた何らかの形で皆さんを楽しませられるものを創れたら良いと思っています。

ここまで読んでくださりありがとうございました!

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